食欲の秋、食事のマナーを考えてみました

食欲の秋ですね。今月は、食事のマナーについて考えてみました。

先日、海外の方と一緒に日本食を食べる機会がありました。その方は今回が初めての日本で、本格的な日本食を食べるのも初めてとのこと。お箸も少し使いにくそうでしたが、興味津々で煮魚やお刺身を召し上がっていました。ところが、ごはんを食べるときにお茶碗を持たずに食べようとされていました。そこで、「日本では、ごはんやお味噌汁など、器に入ったものは手に持って食べるのが正しい食べ方なんですよ」とお伝えすると、とても驚いた様子。それでもすぐにお茶碗を手に持ち、最後まで楽しそうに食事をされていました。

このように、食事に関するマナーや習慣は、国や地域によって大きく異なります。そして、日本のように食器を手に持って食べる国は、世界的に見てもかなり珍しいそうです。日本ではその昔、食事を低い御膳に載せて食べていました。食べ物との距離が遠く、そのままでは食べにくかったことから、食器を手に持って食べる習慣が広まったといわれています。

では、同じようにお箸を使うお隣の国、韓国ではどうでしょうか。韓国では、食器を手に持って食べることはありません。むしろ、食器を手に持って食べることは下品な食べ方とされるので、注意が必要です。

中国では、ごはん茶碗を手に持って食べても構いませんが、汁物などはテーブルに置いたまま、レンゲですくって食べるのが一般的です。日本では、お茶碗やお椀を手に持ち、口をつけてごはんを食べたり、お味噌汁などの汁物をすすったりするのが自然な食べ方ですが、これも世界的に見ると、実はかなり珍しい習慣なのです。

このように、食事のマナーには国によってさまざまな違いがあります。一方で、世界共通ともいえる基本的なマナーもあります。

たとえば、「音を立てて食べない」「食べ物が口に入っているときは話さない」「肘をついて食べない」といったことです。これらのマナーは、もとをたどれば、周りにいる人への配慮や思いやりから生まれたものなのではないでしょうか。くちゃくちゃと音を立てて食べたり、食べ方がきれいでなかったりすると、どんなに美しい人でも、どんなに知的な人でも、少し残念に感じてしまうことがあります。それくらい、食事の仕方には、その人の人となりが表れるものです。

もちろん、家族で食卓を囲むときまで、マナーに厳しくなりすぎる必要はないと思います。でも、毎日の何気ない習慣が、少しずつその人の人となりを作っていくものでもあります。

食欲の秋。おいしいものをみんなで楽しく味わいながら、「一緒に食べる人が気持ちよく過ごせるように」という思いやりの心も、少しずつ育んでいけるといいですね。