お弁当作り|2023年5月

この春から上のお子さんの進学、進級に伴いお弁当作り生活がスタートした方もいらっしゃることかと思います。また久しぶりに迎える行動制限のない自由な行楽の季節、お弁当を持ってどこかに出掛ける機会も増えることでしょう。来月は保育園でも親子遠足が予定されています。 自分が食べるぶんにはお弁当はとても楽しみなものですが、いざ作る側となるとその負担はそれなりに大きなものです。彩りや栄養、冷めても美味しく食べられるか、夏場は傷みにくいもの等々、毎日日課として作るお弁当も大変ですが、たまに作るお弁当もそれはそれで頭を悩ませるものです。

つい先日、どこかで目にした文章ですが、海外在住のご夫婦で現地人のご主人から言われた通りに昨夜の残り物をお弁当箱に詰めた日本人の奥さん。しかしその見た目のあまりの質素さに「ブロッコリー付けようか?卵焼き焼こうか?」と必死でおかずを増やそうとしたところ「日本のベントーは高級なおもてなし料理であってオフィスに持っていくものでは無い。あれを毎日当たり前に作って食べる文化の方が私にはクレイジーなレベルに感じる」と答えたそうです。この言葉を聞いて「よくぞ言ってくださった!」という気持ちになった方も多いのではないでしょうか。

私自身も子どもたちが中学、高校に通っていた間、日々お弁当作りに追われました。息子は食物アレルギーがあったので保育園時代も給食に食べられないメニューがある日はお弁当を持参していました。毎日あれこれ考えて作ったお弁当なのに子どもに「お弁当のおかずで何が一番好き?」と聞いて冷凍食品の名前が出た時は正直泣けました。そして手抜きして作ったお弁当の方がむしろ好評で、お弁当作りにおいては時間や労力が必ずしも結果に結びつかないことを(肩の力を抜くことを)学びました。

とは言え、子どもの喜ぶ顔見たさについつい頑張ってしまうのが親心。そんな気持ちをバックアップしてくれるかのように今はお弁当のレシピに関する情報がネット上にも本屋さんにも溢れています。『そこまで手間ひまかけられない』という方はスーパーに行けば数多くのお弁当用の冷凍食品や出来和えのおかずもあります。決して推奨するわけではありませんが、時にはそれらをうまく活用して家事育児のバランスを取ることも大事だと思います。

『映える』キャラ弁が作れたらもちろんそれに越したことはありませんが、お弁当作りはコンテストでもなければ、出来栄えは必ずしも親の愛情を測る物差しでもありません。たとえお料理や盛り付けが苦手でも、子どもたちはあまり気にしていないように思います。むしろみんなでお弁当を食べる楽しみや自分のためにお弁当を作ってくれたことへの感謝の気持ちの方が後々心に残るのだと思います。