蚤虱 馬の尿する 枕もと 松尾芭蕉|2016年11月

 「ノミ・シラミ うまのシトする まくらもと」 。 この句は 江戸時代の俳人松尾芭蕉の旅日記「奥のほそみち」に記されている。芭蕉が327年前の元禄2年(1689年)5月に江戸を発ち、東北、越後、北陸を経て現在の岐阜県大垣へとおよそ2,400㎞を徒歩で約5ヶ月をかけて旅をした。その道中旅日記が「奥のほそみち」で、上掲の句は宮城県の鳴子温泉の近くの尿前(しとまえ)という地名の所に宿した際に詠んだもの。芭蕉はその後越後出雲崎では「荒海や 佐渡によこたふ 天の河」の句を詠んでいる。

 前置きが長くなりましたが実はこれからのお話は「虱(シラミ)」のお話しです。

 近年日本を訪れる外国人が年々増加している。特に 電化製品や日用品を大量購入する中国人の爆買いが話題になりましたが、一時より鎮静化して少なくなったようです。観光や商目的の訪日外国人は年々増加しております。日本に対する関心が高まり多くの外国人が来訪することは大いに結構なことです。 しかし、いいことばかりではありません。

 昨年神宮外苑の森がデング熱の発生源ではないかと大がかりな媒体の蚊の駆除作業が実施されたことはご記憶のとおり。この場合は訪日外国人ではなく外国帰りの日本人が持ち帰ったものだったようでしたが、何れにしろ外国からはいろいろなものが入ってくるようになりました。

 持ち込まれて都合の悪いものの中には病原菌の他に害虫があります。中でも日常生活にとってノミ やシラミ があります。いま日本国内では言葉としてのノミ・シラミを知っていても実際に直接に現物を見たことのある人は極めて少ない。300年前の徳川時代どころか第2次世界大戦後の数年は日本人の生活の中ではノミ・シラミが大繁殖した。当時日本を占領中だった米国軍は、殺虫剤DDTを学校や人の多く集まる駅前などで生徒や通行人に対して衣服や頭髪に白い粉末DDTを徹底的に散布したものでした。しかし、その人権無視も甚だしかった徹底的な散布のお蔭で日本国内のノミ・シラミはほぼ絶滅状態となり、その姿を見ることなく半世紀以上の年月が経過した。その後、DDTの使用は発がん性があるとの理由から、1970年代から世界的に使用禁止となった。

 DDTの使用がなくなったことに加えて外国からの持ち込みもあって、日本国内ではいろいろな害虫、特にシラミの発生が散見されるようになったようです。

 シラミと言っても何種類かありますが、衣服に寄生する「ころもシラミ」や頭髪に寄生する「あたまシラミ」や陰毛に寄生する「けジラミ」があるが、特にここで問題にするのは「あたま・シラミ」です。

 頭の毛髪の中に寄生する「あたま・シラミ」の発生が全国的みられるようになり、最近、新潟市内の小学校や保育園などでの発生も耳にします。

 シラミにいったん寄生されると「あたまシラミ」の場合、まず頭が猛烈にかゆくなります。子どもがやたらに頭をかゆがったりしている場合、その寄生があるかどうかをうたぐってみてください。寄生している場合下図のような虫がいるかどうかを注意深く確認してください。また成虫が見えなくとも毛髪に1ミリほどの白い卵の付着があれば寄生はかくじつです。卵はさわったくらいでは絶対に落ちません。普通のシャンプーで洗っても絶対に駆除はできません。駆除専用シャンプーを薬局で購入してその使用説明書に従って駆除して下さい。(下図実物の寸法は縦2ミリ、幅1ミリ位でしょうか)

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新潟弁について その3

「ばんば」
赤ん坊や小さい子どもをおんぶするとき新潟では「ばんば」するという。最近その「ばんば」するという言い方をほとんど耳にしなくなった。大体この頃の母親は前抱きがほとんどで背中に子どもをおんぶすること自体見かけなくなった。子どもでも、大きくなった場合や大人をおんぶするときは普通におんぶすると言ったように記憶しているがどうでしょうか。小さい赤ん坊の場合たまに「ばんば」するという表現を耳にすると、何とも言えないほのぼのとした温かい響きを感じますが単なる思い込みでしょうか。 

「しょうたれこき」
だらしなく周囲を不潔乱雑の状態にする人のことを「しょうたれこき」あるいは「しょったれこき」ともいう。
常習的に一定の行動をくりかえす人のことを新潟弁では「こき」ということは前回でも触れました。短気ですぐに興奮して怒る人の場合は「怒りこき」となる。またお喋りすきな人は「しゃべっちょこき」となる。 

「もうぞう」、「モーゾ」:
寝言のことを「もうぞう」といいます。妄想が語源でしょうか。何を言っているのかさっぱり意味不明の場合「何もうぞうを言ってるんだ」とこんな風に言いましたがいまはどうでしょうか?語源的に同じ表現からでしょうか、老人性痴呆いわゆるボケ・認知症になってしまった場合、新潟では「もうぐれる」と言いますが、これも今はどうでしょうか‥?
「年のせいかあのバアーさんもすっかりもうぐれてしもて、どうしょうもないてば」 と。 

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